15、魔鉱石の事件

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「すみません」 「いや、いいんですよ。侯爵さまは孤高のお方で以前は周囲を決して寄せつけない空気をまとっていたのに、見事な変貌ぶりですよ。僕はずっと思っていたんです。ご結婚でもすれば丸くなるのではないかと」 「そうですか」 「僕らは侯爵さまと距離が近くなりました。あなたのおかげです」 「いいえ、そんな……ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです」  亡くなった母親以外に褒められることなど今までなかったので、リリアは照れくさくも嬉しくてたまらなかった。  3人は応接ルームで茶を飲みながら男爵領で発掘されている魔鉱石について話した。  魔鉱石はマクベス伯爵領のものであると認定されそうになっている。  しかし最初に発見したのはゼネシス男爵だと本人は主張した。 「我々は長い年月をかけて調査して、莫大な費用をかけて採掘したのです。それなのに、発見したとたん、あちらが自分の領地にあるから自分のものだと主張してきたのです。これが記録です」  男爵が差し出した資料には調査の詳細が記されている。  ライザスはその資料に目を通したあと、リリアにも見せた。
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