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男爵はリリアの顔をうかがいながら遠慮がちに話す。
「こんなことを言いたくありませんが、僕はマクベス伯爵家が信用できません。彼らは僕らの領地を勝手に荒らし、魔鉱石もすべて自分たちのものにしようとしているのです。もし、奥さまにその気がなくてもご家族とつながりがあれば……」
それを聞いたライザスがとっさに口調を荒くした。
「妻はそのような人間ではない。だいたい……」
「旦那さま」
リリアは落ち着いた口調でライザスを制止する。
彼に向かって穏やかに微笑むと、リリアは自分の言葉で男爵に説明をした。
「ゼネシスさま、私は【贄嫁】としてこの家に嫁ぎました」
「リリア!」
ライザスが驚き、止めようとしたが、リリアは冷静に続けた。
「意味はわかりますよね?」
それに対し、男爵は複雑な表情で答える。
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