15、魔鉱石の事件

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「捨てられたも同然ということですね」 「はい、そうです。なので、私はもうマクベス伯爵家とは何の関係もありません。彼らはもう私の家族ではありませんから」 「そのように割り切れるものですか?」 「ええ。そもそも家族の扱いなど今までされたことがないのです。ですから、あの人たちに何の情もわきませんわ」 「そうですか。では、奥さまのお言葉を信用します」  男爵の言葉を聞いてリリアはにっこり笑う。  その胸中は落ち着かなかった。  マクベス伯爵家の人間たちは手に入れたいものがあれば手段を選ばない。  彼らが何をするのか不安でもあった。  話し合いの結果、ライザスは男爵領を視察することになった。  それにリリアも同行する予定だ。  魔鉱石を手に入れてリリアが魔力の強化をすれば次回こそはまともなスキルの付与ができる。  実家にいた頃は魔鉱石を欲していた兄や妹たちを愚かだと思っていたが、今は自分自身がそれを望んでいるのだ。 (皮肉なものね。私もあの人たちと同じ血を引いているのだわ)  それでも夫のためになることなら、なんでもやろうと思うのだった。  それが【贄嫁】としての使命感からくるものかもしれないし、ライザスに対する恋心のせいなのかもしれない。
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