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しかし魔導士に一斉に魔法を使われたらさすがのライザスも苦戦するだろう。
だからこそ、リリアは自分も申し出たのだ。
「私も戦闘に参加させてください」
「だめだ」
すぐさまライザスが制止した。
しかしリリアは引き下がらない。
「暴走する兄を止めたいのです」
「その役目はあなたでなくていい。俺がどうにかする」
「兄は魔鉱石を使ってより強力な魔法で攻撃してきます」
「なおさら、だめだ」
ライザスはリリアを抱き寄せて、その頬を撫でながら話す。
「あなたの可愛い顔に少しでも傷がついたら俺はマクベス家を滅ぼすかもしれない」
真面目な顔でそんなことを言うライザスに、リリアはまったく動じないが男爵は顔面蒼白になっている。
「旦那さま、ご心配なさらないで。以前ようにはなりませんわ。なぜなら今の私は魔鉱石を持っていますから」
リリアは先ほど男爵から受けとった魔鉱石を手にして言った。
「おふざけが過ぎる兄をお仕置きしたいのです」
うふふっと笑うリリアを見て、ライザスもにやりと笑った。
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