15、魔鉱石の事件

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 マクベス伯爵家にとってこの戦いは余裕で勝てるはずだった。  貧しい領地を統治する貧乏男爵に比べて由緒ある伯爵家は魔導士育成にも力を入れ、伯爵家に仕える騎士も多く持つ。  少し叩き伏せてやれば男爵は降伏するだろうと踏んでいた。  魔鉱石の採掘権を奪うことができれば、伯爵領は未来永劫安泰だ。  時期当主であるダン・マクベスは多くの精鋭騎士と有能な魔導士を連れてやって来た。  ところがそこにゲルト侯爵家のライザスが指揮を執る軍勢が待ち構えていたのだ。  それは誤算だった。  戦の神と呼ばれるほど強く、敵には容赦しない冷酷無慈悲な男だ。  彼の率いる軍勢に圧倒され、マクベス家の騎士たちは次々倒され、魔導士の力でなんとか負けることなく維持していた。  だが魔導士の力がいつまでも続くことはなく、だんだん劣勢になっていく。  相手を叩き伏せるにはまずライザスの壁を突破しなければならなかった。 「どういたしましょうか? 我々の力では攻め込まれたらおしまいです」  狼狽える魔導士たちを見てダンは不敵な笑みを浮かべた。
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