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今度は得意の水魔法を使って敵の騎士団すべてを丸呑みにしてやろうと考えた。
広範囲に渡る水魔法の攻撃は膨大な魔力を有する。
一度使用したらしばらく魔力回復に時間がかかることをダンは自覚していた。
「一度で方をつけてやるさ。これで俺たちの勝利……」
突如彼らの目の間に土が盛り上がり巨大な壁となってダンの放った水魔法を防いだ。
「え……?」
ダンは呆気にとられ、まわりの魔導士たちは狼狽えている。
「あちら側にこれほどの魔力を有している者がいるとは誤算だ」
「一体どんな魔導士なんだ?」
「その者に会ってみたいものだ」
そんな周囲の声に苛立つダンは八つ当たりぎみにこちら側の魔導士に向かって手をかかげた。
「お前ら! この俺を差し置いてよくも……」
しかしダンは魔力が切れており、その手から何も放たれない。
魔導士たちは冷めた目でダンを見つめた。
そのとき、ひとりの使者が報告に訪れた。
「男爵側の魔導士が面会したいとのことですが」
それを聞いた魔導士たちはざわついた。
ダンはくそっとぼやきながらその魔導士を迎え入れる。
その人物を見た瞬間、ダンは表情を歪めた。
「リリア?」
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