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「ごきげんよう、お兄さま」
「お前、なぜここに？」
ダンの問いに答えたのはリリアの背後に現れたライザスだ。
彼は険しい表情でリリアを守るように肩を抱いている。
「リリアは俺の妻で魔導士だ。ともに危機を乗り越えるために妻である彼女に一緒にいてもらった。常に俺の支えになってくれる有能で素晴らしい女だ。それに国で一番、いや大陸で一番可愛い」
真面目な顔でそんなことを言うライザスに周囲は呆気にとられ、ダンは「はあ？」と表情を歪めた。
リリアが前に進み出て、強い口調で告げる。
「降伏してください、お兄さま。もうあなたがたに勝ち目はありません」
「な……リリアのくせに生意気な」
「私のことはどうでもいいのです。今この場でマクベス伯爵家に不利であることは明らか。これ以上の争いは無用ですわ」
ダンは返す言葉がなくただ歯噛みする。
すると彼の背後から伯爵家の魔導士たちが急にリリアに向かって土下座した。
「リリアさま、どうか我々を弟子にしてください。あなたの魔法は素晴らしい」
「私たちを侯爵家にお連れくださいませ」
それを見たダンは驚愕し、怒りの形相で怒鳴りつける。
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