15、魔鉱石の事件

18/18
前へ
/192ページ
次へ
 ダンはカーッと頭に血がのぼり、リリアに殴りかかろうとした。  すると、とっさにその腕を掴んで叩き伏せたのはライザスだ。  ライザスは床に叩きつけられたダンを怒りの形相で見下ろしながら警告する。 「わが妻に傷ひとつでもつけたら、貴様の腕と足を入れ替えてやる」  ダンはわけがわからないというように「へっ!?」と声を洩らす。  するとリリアがとなりでライザスに笑顔で言った。 「旦那さま、お兄さまは不器用ですので」 「そうか。じゃあ、首と腰を入れ替えてやるか」 「それじゃあもう生きていられませんわ」 「そうだな。だが、まあ喜ぶがいい。一応貴様は俺の義兄にあたるから墓参りくらいはしてやるぞ。ただし一度だけな」  ライザスが剣を突きつけると、ダンはだばだば涙を流しながらぼそりと呟いた。 「……降参です」  この瞬間、戦いを仕掛けたマクベス伯爵家は敗北し、魔鉱石の採掘権はゼネシス男爵のものとなった。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1045人が本棚に入れています
本棚に追加