16、スキルの不具合でデレデレな夫

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「あの、旦那さま」 「ん? なんだ?」  満面の笑みで訊ねるライザスに、リリアは複雑な表情で答える。 「まだ日が高いので、あまりベタベタされるのは……」 「誰も見ていないからいいだろう?」 「でも、旦那さまは執務がございますでしょう?」  ライザスは眉根を寄せて険しい顔でリリアを見つめた。  少し言い過ぎたかもしれないと思ったリリアは冷や汗をかく。 「仕事のことなら心配するな。リリアが思っているよりちゃんとしている。いや、正しくは結婚したからきちんとするようになった、だな。今まではアベールに叱られてばかりだった」 「そうなのですか?」  あの温厚なアベールが叱るとは一体どんな感じなのだろうか。想像もできない。 「そうだ。パーティのためにドレスを新調しなければならないな。近いうちに衣装屋を呼びつけよう」 「ドレスならたくさんありますから、その中から選んでも……」 「何を言う? 大陸でもっとも美しい妻を最高に着飾って皆に披露したいんだ」  ライザスはリリアの髪を撫でながらそんなことを言う。
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