17、パーティの珍事

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「出ていって」  リリアは妹たちを睨みつけながら強い口調で言う。 「二度と私の前に姿を現さないでちょうだい」  それを聞いた妹たちは口々にリリアを罵った。 「偉そうな態度をとるんじゃないわよ。あなたはマクベス家の汚点であり、侯爵家の【贄嫁】なのよ」 「そうよ。侯爵夫人になったから勘違いしてるんでしょ? あたしたち知っているのよ。ゲルト侯爵のお姉さまへの愛が偽物だということを!」  それを聞いたリリアはどきりとして硬直した。  妹たちはリリアが動揺したのを悟るとにんまり笑った。 「魔導士のあいだで噂が広まっているのを耳にしたわ。侯爵さまはあなたの妙な力で本来の自分を偽っているらしいわね」 「どれだけ愛されていると周囲に言われても、しょせん偽物の愛なのよ」 「一生真実の愛を知らずに生きていくお姉さまが惨めでならないわね」 「ああ、そうだわ。お姉さまの代わりにあたしが侯爵さまを誘惑しちゃおうかしら」 「やめておきなさいよ。あんな不愛想な男、魅力もないわ」
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