スキル【溺愛】を獲得した冷酷無慈悲な侯爵は契約結婚の贄嫁を愛でたい

１８、うんざりな人たちにさようなら

　パーティ会場では集まった貴族たちが談笑していた。
　その中でも彼らの話題はライザスとリリアのことが多かった。

「ゲルト侯爵が初めて夫人をお披露目されるそうよ」
「まあ、どんなお方かしら？」
「わたくし昨日庭園でお見かけしたわよ。侯爵さまと大変仲睦まじいご様子だったわ」
「しかしお飾り妻という噂もあるじゃないか」
「侯爵さまはわざと仲のよいふりをしていると聞いたわよ」

　貴族たちの輪に入れずにこっそり隅のほうへいるのはマクベス家の伯爵と夫人だ。
　彼らはこのたびの領地戦騒ぎのせいで社交界では肩身の狭い思いをしていた。
　すべてリリアのせいだ。
　彼らのリリアに対する恨みは相当なものだった。

「ほら、出てきたわよ。侯爵さまたちが」
「どんなドレスにしたのかしらね？」

　マクベス家の姉妹は鼻で笑った。
　先ほどドレスを台無しにしてやったからどんな格好で出てくるのか楽しみだった。
　しかし、現れたリリアは人々の視線を釘付けにしたのだ。