18、うんざりな人たちにさようなら

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「本当に美しくなったこと。驚いたわ。侯爵閣下の寵愛を受けているなんてね。どうして手紙もくれないの? 寂しかったわよ」 「そうだぞ。私たちはお前の親じゃないか。娘が元気にしているか親として心配だったんだ」 「侯爵閣下を一度マクベス家へお招きしたいわね。ほら、あなたたちうちの親戚に披露していないでしょう?」 「ついでにこちらでも結婚式をしたらどうだ?」 「あら、それはいい考えね。ぜひ、そうしましょ」  両親がふたりで盛り上がっている様子をリリアは冷めた目で見つめている。 (いつまでこの戯言を聞かなければならないのかしら?)  リリアは毅然とした態度で両親に言い放つ。 「私は二度とマクベス家に戻りませんし、そもそも夫を殺そうとした兄のいる家にどうして行けましょうか」  父は表情を引きつらせながら言い訳をする。 「それはダンが勝手にしたことだ。私たちは関係ない」 「そうでしょうか? 魔鉱石を独り占めしたいあなたが兄を唆したのではありませんか?」  父はぴくりと顔を引きつらせた。
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