18、うんざりな人たちにさようなら

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「リリア、事情がわかっているなら私たちを助けてくれよ。あいつのせいで私たちは肩身の狭い思いをしているんだ」 「私のことはお忘れください。二度と会うことはないでしょう」  そう言って立ち去ろうとしたら、父に肩を掴まれた。 「天涯孤独の身になったお前を拾ってやったのだぞ。食事と寝床を与えてやったのに、恩を仇で返すつもりか!」 「お言葉ですが、お父さまは私を捨てたのです。そのときに、もう私はマクベス家の人間ではありません」 「このっ……! 親に向かって生意気な態度を!」 「親だと思ったことなどございません」  怒り狂った父が手を振り上げた。  殴られるだろうと思ったが、その手は別の手によって制止される。  ライザスが父の腕を掴んでいた。 「こ、侯爵閣下」 「私の妻に手を上げようとした罪。決して許さない」 「は? これは娘への躾けでして……」  ライザスは父の腕を掴んだまま、彼を床に叩きつけた。  その音で周囲が注目し、母は狼狽えながら周囲をきょろきょろ見回した。 「さっきから話は聞こえていた。俺をマクベス家に招待してくれるそうだな。お望み通り訪問してやってもいい」  リリアは驚き、ライザスに不安げな表情を向ける。  しかしすぐに彼は続けた。 「俺の騎士を100人連れていこう。それで事足りる」
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