18、うんざりな人たちにさようなら

7/7
前へ
/192ページ
次へ
 つまり、マクベス家を滅ぼすという意味だ。  母は顔面蒼白になり、父は四つん這いになったまま逃げるように腰を上げた。 「け、結構です」 「では二度と妻に声をかけるな。近づくことも許さない。もちろん手紙を寄こしたらすぐに騎士を連れてお前たちの領地へ行ってやる」  両親は慌てて逃げ出し、周囲は一体何事かと首をかしげた。 「侯爵閣下、どうかなさったのですか?」 「お気になさらず。ハエを処分しただけです」  ライザスの返答にリリアは噴き出した。  ライザスにとってリリアの両親はうるさいハエ。  人間として対等に話す価値もないということだ。  ライザスはいつものように優しい笑顔をリリアに向けた。 「どうしたんだ? 楽しそうだな」 「旦那さま、あなたが楽しいのですわ」  スキル【慈愛】の効果はうまくできているなあとリリアは思った。  慈愛というからすべての人々に優しさを向けるものだとばかり思っていたのに、ライザスは敵とみなしたものには容赦ない。  次の満月にふたたびスキルの書き換えができる。  ライザスは当然それを受けるだろう。  リリアは覚悟して、すべてを受け入れるつもりでいた。  ところが意外なことが判明したのである。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1048人が本棚に入れています
本棚に追加