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リリアはそんな周囲のことなど気にすることなく極上の笑みを浮かべながら黙々と美味な料理を堪能する。
続いて出されたトマトソースのパスタや牛肉のソテーを平らげて、デザートのプディングが出されたところだった。
突然ライザスが席を立ったのだ。
「食事はもうよい」
リリアが慌てて顔を上げると、その視線に気づいたライザスが言った。
「あなたはこのまま食事を続けてください」
そして彼はそばにいた料理長に険しい顔を向ける。
「今日の肉の焼き加減は少しやり過ぎだ」
「申し訳ございません」
料理長はぺこりと頭を下げる。
それを見たリリアはげんなりした。
(本当に細かい人なのね)
これでは息も詰まるだろう。
使用人たちはみな表情が曇っていて、しきりにライザスの顔色をうかがっている。
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