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ある日、執事のアベールがリリアに今後の予定を伝えに部屋を訪れた。
「スキル付与の儀式は次の満月の夜でございます。一応お伝えしておきますが、旦那さまは戦闘力強化のスキルをお望みでございます」
「あの、前にも言いましたがスキル付与は私の意思ではどうにもできません」
「はい、承知しております。とりあえず、意識しておいていただければとのことでございます」
おそらくライザスに強く言われたのだろう。
リリアはこれ以上返す言葉もなく嘆息する。
それだけ強く熱望しているのであれば大丈夫だろう。
あちらの本能が戦闘を求めているのだから。
ライザスは戦闘力強化のスキルを身につけたらすぐに戦場へ向かうらしい。
聞けば彼はそれ以外にはまったく興味を示さないのだとか。
パーティで多くの令嬢に声をかけられても無言でかわし、縁談話もすべて断っているようだ。
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