4、婚姻の儀式とスキルの付与

3/9

993人が本棚に入れています
本棚に追加
/192ページ
 侯爵家の跡継ぎの問題では、見習い騎士の子どもの中から優秀な者を養子として迎えるそうだ。  つまり彼は子作りにもまったく興味がないのである。  それはそれでリリアも楽だからいいが、ここまで来るとライザスは同性が好みなのだろうかと疑念を抱く。  だが、それはリリアの気にするべきことではなかった。  そしてその日がやって来た。  リリアは純白のドレスに身を包み、きらびやかな宝石を身につけてマリーとともに馬車で侯爵家近くの大聖堂へ向かった。  そこには魔導士と神官、そして執事のアベールに数人の騎士たちが集まっている。  親戚は一切この場にいなかった。  ライザスは結婚式をしない代わりにこの儀式ですべてを済ませるつもりらしい。  神官の前で結婚証明書にふたりがそれぞれサインをする。  この瞬間、ふたりは形式上の夫婦となった。  神官の役目はこれで終わりで、次に魔導士がふたりに近づいた。 「それではこれよりスキル付与の儀式をおこないます。奥さまは最大限の魔力を開放していただき、旦那さまの手をお取りください」  リリアは「はい」と言って静かに目を閉じた。  魔力の解放にはかなりの集中力が必要になる。魔力の弱いリリアはすべての力を出し切るためにぎゅっと両手を力強く組んだ。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

993人が本棚に入れています
本棚に追加