4、婚姻の儀式とスキルの付与

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 リリアまで絶句してしまったから、ライザスは苛立ちを顔に出して詰め寄った。 「そこに何が書いてある? 早く読み上げるんだ」  リリアはおずおずと声に出して言った。 「侯爵さまに付与されたスキルは【溺愛】です」  時間が止まったような静けさが訪れる。  魔導士は青ざめた表情をしており、神官は呆気にとられ、リリアは不安げにライザスを見つめる。  そして、当の本人は眉をひそめ、表情を歪めた。 「何だそのスキルは? ふざけているのか」 「いいえ、ふざけてなどおりません。本当にそのように書いてあるのです」 「あなたは一体何をしたんだ?」 「な、何も……」  とリリアは言いかけて、はたと思い直す。 (もしかして私が余計なことを考えてしまったから?)  何が影響したのかはわからない。  そもそも【溺愛】などというライザスにはもっとも縁のなさそうなスキルが、なぜ付与されてしまったのか。  ライザスの表情は怒りに満ちている。  彼は何も言えずに黙るリリアを睨みつけ、魔導士に訊ねた。 「スキルの書き換えは出来るのか?」 「は、はい。しかし今夜を入れずに3回満月を見送ってからになります。つまり……」 「4ヵ月後か!」 「……そうなります」  ライザスは「くそっ」と吐き捨てる。
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