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「もういい。俺はすぐに遠征に向かう。3ヵ月で戻ってくるからそのときにもう一度スキルの付与をする」
意外と冷静な判断を下したライザスの態度に魔導士も神官も安堵した。
だが、ライザスはリリアを見て恐ろしい形相で告げたのだ。
「次に失敗したら、あなたはここにいられなくなると思ったほうがいい」
「わ、わかりました」
リリアは深く頭を下げてライザスが立ち去っていく姿を黙って見送った。
残された魔導士と神官はとりあえず自分たちの責任ではないと主張し、リリアを責め立てた。
「まったく。どうしてこんなことになったんだ?」
「すべてあなたのせいですよ」
彼らはリリアに冷たい視線を残して立ち去る。
執事のアベールと侍女のマリーがそばに寄り、リリアに励ましの言葉をかけた。
「次こそはきっと成功しますよ。お気をたしかに」
「ええ。それにある意味旦那さまには必要なスキルかと私は思いますしね」
マリーがにやにやしているのでアベールは「こらっ」と軽い叱責をした。
何にしろ、次に失敗したらもうリリアはここにはいられなくなる。
次は無の感情で臨もうと決心した。
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