1、私たち白い結婚ではないのですか?

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 ライザスはリリアに覆いかぶさるようにしてじっと見下ろした。  そして目線はそのままで、手先だけはリリアの寝間着(ナイトドレス)の胸もとを探り、指先でするりとリボンをほどく。  リリアはどきりとして、慌てて声を上げた。 「ちょっと……旦那さま、落ち着いてくださ……」 「俺は落ち着いている。あなたが落ち着いてくれ」 「落ち着けません!」  同意もなく夫婦の契りを決行しようとするのだ。  つい先ほどまでリリアに興味もなさそうな様子だったのに。  それどころか、晩餐(ディナー)のときは不機嫌そうな顔でひとことも口を利かなかったくせに。  そもそもリリアは【贄嫁】と呼ばれる特殊な存在で、夫に利用されるためだけに嫁いだ身である。  子作りはしないと最初に言われていたのだから、心の準備など到底できておらず。
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