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ライザスは静かに立ち上がり、そのまま歩いてリリアのそばへ行き、いつものように立ち止まって彼女をじっと見つめた。
これで何度目だろうか。
リリアもライザスのこの不可解な行動に慣れてしまったのかさほど驚かないようだ。
ゆっくりと顔を上げるリリアを見て、ライザスは衝撃を受けた。
彼女の口もとにホイップクリームがわずかについているのだ。
どくんどくんといつも以上に高鳴っていたライザスの鼓動は、どくどくどくどくどくと爆発した。
(おい! なんだその顔は! 可愛いかよ! 最高に可愛いかよ! くそっ、口もとについたクリームを舐めてやりたい……!)
ライザスはもう理性が保てなくなっていた。
この衝動が顔に出そうになると、それをこらえるためにリリアをじろりと睨みつけた。
リリアはびくっとしてすぐに顔を背ける。
そして口もとについたクリームをナプキンで拭った。
リリアはうつむき、僅かに肩が揺れている。震えているようだった。
(あああああ、俺は……またやってしまった! 怖がらせるつもりはなかったのに。なぜこんな態度しか取れないんだ!)
胸中で激しく後悔しながら、表情は真顔で目つきは鋭く、いつものようにリリアを睨むように見つめると、さっさとダイニングルームをあとにした。
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