6、夫に初夜を求められています

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 ぽちゃんっと湯舟(バスタブ)に雫が落ちる。  リリアは湯に浸かりながらマリーに髪を梳いてもらっていた。  人差し指をくるりと回し、ふうっと息を吹きかけると、泡が膨らんでシャボン玉になり、ふわふわを宙を舞い上がる。 「旦那さまは私を見て毎回嫌な顔をされるのよ」 「本当に困ったものですよね。どちらも鈍感というか……」 「え?」 「それより綺麗ですね。魔法ですか?」  マリーは目の前に飛んできたシャボン玉を指でつついてみたが、やわらかいのに壊れることがない。 「あまり役に立つ能力ではないけど」 「そんなことないですよ。リリアさまはご自分で湯を張ってくださいますから私たちは本当に楽ですもの」  湯浴みのときはリリアが火と水の魔法を使って湯舟(バスタブ)に湯を張っている。  こういうときは便利だが、リリアの魔力はそれほど強くないので一度使うとしばらくは力が発動しない。  その欠点があるせいで魔導士に役立たずとされてしまったのだ。  だが、仮に魔力が強かったとしても、どうせあの家を追い出されることになっていただろうと思う。  結局【贄嫁】としての役割も失敗してしまった。  次こそ成功しなければこの屋敷からも追い出されてしまう。 (そうなったら異国へ行って魔導士の雑用の仕事でも見つけよう)  リリアがぱちんっと指を弾くとシャボン玉は一斉に割れて消えた。
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