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うとうとしながら、だんだんと夢の中へ意識が傾きかけたときだ。
コンッと一度だけ扉を叩く音がした。
リリアは目を開けて部屋の扉のほうへ目をやる。
「マリー?」
もしかしたらマリーが何か言い忘れたことがあって戻ってきたのかもしれない。
しかし、一向に返事はない。
リリアは眉をひそめ、ベッドから出る。
窓から差し込む月明かりを頼りに、リリアは扉へ向かった。
そして扉をそっと開けると、そこにいた人物を見て驚愕のあまり声を上げた。
「だ、旦那さま!? どうして……」
「寝ていたのか?」
「は、はい……」
「そうか。起こしてすまない」
「いいえ、あの……どうぞ」
こんなところで立ち話も失礼なので、リリアは彼を部屋へ招き入れた。
ライザスはまったく躊躇することなく足を踏み入れる。
リリアは急に緊張して鼓動が高鳴った。
(どうしたのかしら? もしかして怒りが収まらないから直接文句を言いに来たの?)
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