6、夫に初夜を求められています

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「いいえ、あの……だって私たちこのような……」 「仕方ないだろう。あなたのせいだ」 「えっ……」 「あの儀式の日から、俺はおかしくなった」  ライザスは一歩、また一歩とリリアに近づいてくる。  やけに真剣な表情で迫ってくるので、リリアは焦りと緊張で固まった。 (これは怒っているのではなく、まさか……)  さすがにこの状況は理解できた。 【溺愛】という妙なスキルを身につけて、一体どうなるのかと思ったが、これまでずっとライザスは冷たい態度をとってきたのですっかり油断していた。  マリーがたまに冗談で言っていたことを思い出して合点がいく。  周囲はとうに気づいていたのだろう。  ライザスがこのスキルによってリリアに執心しているということを。 (旦那さまはあのスキルのせいで私のことが好きだと勘違いしているのだわ)
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