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ライザスは憂いを帯びた表情で、今までにないほど切なげな声を洩らす。
「俺は毎日あなたのことばかり考えてしまう。何をしていてもあなたの顔が浮かんでくる。眠っていてもあなたの夢ばかり見る。これ以上はもう耐えられない」
「ご、ごめんなさい。私が無能なばかりに……」
リリアは本当に心から申し訳なく思っていた。
涙目になりながらライザスに謝罪する。
しかし、ライザスは眉をひそめて言った。
「なぜ謝るんだ? 俺たちは夫婦だ。これが正常な形だ」
「い、いやでも……旦那さまは普通ではありませんから」
「俺が異常だとでも言わんばかりだな」
「その通りです。旦那さまは異常なのです」
リリアはがちがちに固まったままライザスに訴えた。
するとライザスはちっと舌打ちし、リリアをじろりと睨みつけた。
リリアは失言したと思い、怯えて震え上がる。
「だ、旦那さま……正気を取り戻してください……だって、あの……私はまったく心の準備ができて、おりませんので」
急に迫られて頭が混乱しているのと同時に、彼のこの感情が偽りであることの虚しさが込み上げてくる。
その上威嚇されるように睨まれてしまった恐怖もあって、感情がないまぜになり錯乱した。
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