6、夫に初夜を求められています

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 ライザスは憂いを帯びた表情で、今までにないほど切なげな声を洩らす。 「俺は毎日あなたのことばかり考えてしまう。何をしていてもあなたの顔が浮かんでくる。眠っていてもあなたの夢ばかり見る。これ以上はもう耐えられない」 「ご、ごめんなさい。私が無能なばかりに……」  リリアは本当に心から申し訳なく思っていた。  涙目になりながらライザスに謝罪する。  しかし、ライザスは眉をひそめて言った。 「なぜ謝るんだ? 俺たちは夫婦だ。これが正常な形だ」 「い、いやでも……旦那さまは普通ではありませんから」 「俺が異常だとでも言わんばかりだな」 「その通りです。旦那さまは異常なのです」  リリアはがちがちに固まったままライザスに訴えた。  するとライザスはちっと舌打ちし、リリアをじろりと睨みつけた。  リリアは失言したと思い、怯えて震え上がる。 「だ、旦那さま……正気を取り戻してください……だって、あの……私はまったく心の準備ができて、おりませんので」  急に迫られて頭が混乱しているのと同時に、彼のこの感情が偽りであることの虚しさが込み上げてくる。  その上威嚇されるように睨まれてしまった恐怖もあって、感情がないまぜになり錯乱した。
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