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リリアの目から涙がこぼれ落ちる。
ライザスは目を見開き、眉をひそめた。
「なぜ泣くんだ?」
「すみません、少しびっくりしてしまって」
「泣くなよ。そんなことをされたら……」
ライザスは真っ赤な顔で歯を食いしばる。
リリアは逃してもらえるだろうと期待したが、彼の返答は違った。
「興奮が抑えられない!」
(えええええっ!? そっちですかー!!)
リリアの涙が引っ込んだ。
衝撃のあまり呆然としている。
「くっ……可愛いな。もっと泣かせたい。めちゃくちゃに泣かせたい」
「ちっ、ちょっと旦那さま……心の声が洩れてますけど!」
「もういい! 俺はどんな変態だと言われてもかまわない。感情のままに行動することにした」
真面目な顔ではっきり言われて、リリアの表情が引きつった。
(この人は誰!? 冷酷無慈悲な侯爵さまは一体どこへ行ってしまったの?)
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