6、夫に初夜を求められています

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 ところがライザスは怒ることも強行することもなく、静かに離れてくれた。  これは意外だ。  リリアは驚き、体を起こす。   「旦那さま……?」 「悪かった。たしかにあなたの言う通りだ。衝動的に行動しすぎてしまった。少し落ち着こう」  ライザスは髪をくしゃくしゃとかきながら赤面し、顔を背けた。  その仕草がなんだか可愛らしい。 (本当に少年みたいなお方なのね)  リリアはそっとライザスの手を握った。 「もう遅いのでお休みになりましょう。旦那さまは遠征に行かれる身ですから、しっかり休養しておかなければなりませんわ」  ライザスは頬を赤らめたままじっとリリアを見つめる。  いつも冷たい目線しかくれなかった彼の素直でまっすぐな表情に、リリアの胸がぎゅっと締めつけられる。  ふたりはベッドに並んで横たわった。  リリアにとってこのベッドは広すぎるので、もうひとりとなりにいるくらいがちょうどいい。  妙な静寂が漂った。  少しばかり肩が触れ合っているのでリリアはドキドキしていた。 (こんなの眠れるわけがないわ)
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