6、夫に初夜を求められています

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 ライザスは静かにゆっくりと上体を起こし、ふたたびリリアを上から見下ろした。  美麗な顔に魅せられて、もうこのままどうにでもなっていいとさえ思ってしまう。  ライザスはゆっくりと近づいて、リリアの頬ではなく額に口づけをした。  リリアはぎゅっと目を閉じる。  ライザスの髪や吐息が触れるので、いちいちドキドキしてしまう。  こんな感情を抱いてはいけないとわかっている。  どうせ次のスキルの書き換えで彼のリリアへの熱情は消えてしまうのだから。  そのことを思うとリリアはわずかばかり胸が痛くなった。  今夜のこのことは4ヵ月後にはなかったことにされてしまう。  しかしそれがライザスの本来の願望であり、今の彼は偽りの姿である。  リリアはそれが無性に寂しくて切なくなった。  それはきっと、冷たい夫が急に優しくなったから絆されただけなのかもしれない。  だから、あくまで今夜のことは、ただの思い出のひとつ。  リリアは目を閉じて何度も自分に言い聞かせた。
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