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苦悩するライザスに向かってアベールが冷静に言った。
「正直なお気持ちをお伝えすればよろしいではないですか。旦那さまと奥さまの仲睦まじいお姿を拝見できれば、わたくしどもはこれまで以上に仕事に邁進できます」
「どういうことだ？」
「お仕えする主人が幸福であれば、下々も幸福になれるのです。そうすると邸宅内の空気が明るくなり、幸運を呼び寄せることもありましょう」
「幸運か」
「子宝にも恵まれますよ」
「こ、子宝だと！？」
ライザスは首から頭のてっぺんまで一気に真っ赤に染まった。
するとアベールは少し困惑の表情で頭を下げた。
「申し訳ございません。出過ぎたことを申しました。失言をお詫びいたします」
ライザスはすでにアベールの存在など忘れ、頭の中は子どものことでいっぱいになった。
想像したのはリリアにそっくりなふわっとした金髪の小さな娘の姿だ。
（最高かよ！！！）
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