8、スキル【溺愛】が絶好調な夫の苦悩

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 しかしリリアは急に血相を変えて、くるりと背中を向けた。 「お邪魔して申し訳ございません」 「いや。わかってくれたなら」 「もう旦那さまに声はかけませんから」 「え?」  リリアの背中がわずかに震えている。  ライザスは眉をひそめた。 「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」 「迷惑ではない」  リリアの様子がおかしいと思い、とっさに彼女の肩を掴んで振り向かせる。  するとリリアは涙をぼろぼろこぼしていた。 「なぜ泣いている?」 「これは少し目が痛くなってしまって……」 「大丈夫か?」 「目を洗いたいのでこれで失礼します」  リリアはライザスの手を振り切って走りだした。  ライザスは意味がわからず呆然としている。  実はふたりの様子を植木の陰からこっそり覗いている者がいた。  マリーだった。 「不器用すぎか!!!」  マリーは苛立つあまり呆れ顔で吐き捨てる。
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