9、偽りの上に成り立つ夫婦の契り

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「ふたりきりで食事がしたい。お前たちは下がれ」  ライザスがそう言うと、料理長も使用人たちもぺこりと頭を下げて退室した。  彼らがいなくなってしんと静かになると、ライザスは自分の椅子をリリアのとなりへ移動した。 「旦那さま?」 「やってみたいことがある」 「はい、なんなりと」 「その……食べさせてもらえないだろうか?」  真面目な顔で頬を赤らめながらそんなことを言うのだ。 (か、可愛い~旦那さまが可愛い~)  リリアは感動のあまり目を輝かせながら笑った。  ライザスは慌てて言い訳を口にする。 「友人が以前、恋人にそうしてもらうと話していた。正直バカらしいと思って相手にしなかったが、今は無性にそれがやりたい」 「はい、わかりました。では、あーんしてください」  リリアがスプーンでスフレオムレツをすくってライザスの口もとへ近づけると、彼はそれをぱくっと食べた。 「どうですか?」 「美味い」 「ふふっ、それはよかったです」 「では、あなたも」 「え?」  ライザスが同じようにスプーンでオムレツをすくってリリアの口もとに近づける。  リリアは頬を赤らめながらそれを食べた。
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