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「リリア？」
「お任せください」
リリアはにっこりと笑って前回ライザスに見せた魔法を再現してみせた。
風がふわっと吹いて床の水を乾かしていく。
その様子を見た使用人たちは驚いたあと歓喜の声を上げた。
「すごいですわ、奥さま」
わくわくした表情の使用人たちの中でひとり、失態をおかした者は床に膝をついたまま不安な顔で見上げている。
「大丈夫？」
リリアが手を差し伸べると、彼女はその手をとり、立ち上がった。
「あ、ありがとうございます」
するとリリアのとなりでライザスが使用人に向かって言った。
「そう怯えるな。命にかかわるような失敗ではないだろう」
ライザスの言葉に驚愕し、呆気にとられたのは周囲の者たちだ。
まさか彼の口からそんな言葉を聞くとは思いもしなかったのだろう。
ライザスはさらに続ける。
「いつも感謝している。ありがとう」
周囲はぽかーんと口を開けて固まった。
何が起こったのかわからないというような顔だ。
ライザスは照れくさそうにしながらリリアと一緒に立ち去った。
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