10、激重な夫からのラブレター

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 ライザスが旅立って3ヵ月が経とうとしていた。  リリアは少し寂しい思いをするかもしれないと思っていたが、そうでもなかった。  その理由は頻繁に届く手紙である。  午後のティータイムの時間にマリーが真顔でリリアに届いたばかりの手紙を渡した。 「旦那さまからです」 「ありがとう」  リリアがそれを受けとるとずっしりした重みを感じた。  今日はまた、なかなかの分厚さである。  開封すると中から10枚もの便せんが出てきた。  そこにはびっしりと内容が書き込まれている。  *◇*◇*  愛する妻へ。  元気にしているだろうか。  きちんと食べているだろうか。  寂しい思いをしていないだろうか。  困ったことはないだろうか。  俺がいないあいだ、あなたが侯爵家を守ってくれていると思うと俺は誇り高い。  よき妻を持った幸せ者だ。  俺のことは心配しなくていい。  最近は夜空を見上げることが多くなった。  美しい星を眺めているとあなたのことを思い出す。  月が満ちてきたな。  あなたとの夜を思い出しては胸が熱くなる。  あなたがとなりにいないだけで俺の人生の何かが欠けたような気がしてならない。  毎日が長く感じてしまう。  早く会いたい。  そのために俺は自分のすべきことをやる。  ああ、早くあなたに会いたい。  あなたを抱きしめたい。  愛しいわが妻よ。  次に会うときはたくさん愛してやろう。  それまで息災でな。  *◇*◇*
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