10、激重な夫からのラブレター

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 リリアは手紙に目を通したあと、うつむいて黙った。  怪訝に思ったがマリーが声をかける。 「どうしました? 旦那さまに何かあったわけではないですよね? その分厚さからして」  リリアは複雑な表情でマリーを見上げた。 「どうしよう。前回のお手紙のお返事も出していないのに。ううん、その前のお手紙のお返事も書きかけなのよ」 「そりゃそうでしょうね。間に合いませんもの」  リリアとマリーが同時に窓際のテーブルへ目をやると、そこには分厚い封筒が積んであり、書きかけの手紙も置いてあった。 「よくもまあ、毎回こんなにネタがありますよね。これで30通目ですよ。暇なんですかね」  マリーは呆れを通り越して真顔だ。  さすがにリリアも困惑したが、それでもこれが一時的なものだとわかっているからそれほどうんざりしない。  毎回ポエムのような長ったらしい内容であっても、一字一句丁寧に読んだ。
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