10、激重な夫からのラブレター

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「困ったわ。報告する内容もあまりないし、どうしましょ。はぁ、頭痛がしてきたわ」  毎日食事と書庫通いと庭園散歩のルーティンなので特別なことがないのである。 「気が滅入ってしまっているのですわ。外出でもしますか?」 「でも、旦那さまに止められているし」 「いやいや絶対バレませんて」  ライザスはリリアに外出を控えるようにと手紙に書いている。  愛する妻が馬車事故に遭ってしまったらいけないとか、道を歩いているときに強盗に遭ってはいけないとか、通り魔に刺されたらいけないとか、そんな理由を丁寧に記して。 「重すぎる愛も困りものですね」 「まあ、いいわ。どうせあとひと月のことだもの」  ライザスはもうじき帰還する予定だ。  そうなると当初の予定通りひと月後にスキル書き換えの儀式がある。  彼は手紙でそのことについてまったく触れず、ただリリアに会うのが楽しみでたまらないとだけ記している。    スキル書き換え後どうなるかは未知だ。  ライザスが完全にリリアへの熱が冷めて出会ったときのように冷たく接するかもしれないし、まったく興味を持ってもらえず無視されるかもしれない。
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