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 時給の良さだけで選んだパチンコ店のホールスタッフのバイトは18時から23時までで、私は週3日シフトを入れていた。  主な仕事は"ドル箱"の上げ下げや玉運びや玉詰まりの修正、それから営業中及び閉店後の清掃。  パチンコやスロットなどの遊技機は『島』と呼ばれる大きな土台に横一列に並んでいる。私の働いていた店には壁側に設置された『壁島』が1列と遊技機が両側にある『両島』が10列ある。  壁島側から通路にコース番号が当ててあり、1コースから8コースまでがパチンコそれ以降にはスロットが設置されている。  "ドル箱"が何かさえ知らなかった私は、常にフォローの目が届きやすい5・6コースを担当していた。 『島』の端にあるランプが赤く光ると、その島のお客様に呼ばれている事が分かるようになっている。  基本的な対応はとても単純だ。  フィーバーしているお客様は大抵空箱を受け取るために手を出している。その手に空箱を手渡した後、玉で満杯になったドル箱を下に下ろす。  遊技を終えたお客様は大抵指でバツを作っているので、ドル箱を計数機器まで運んで行き、玉数が記載されたICカードを手渡す。  玉詰まりのお客様は大抵パチンコ台を指差しているので、鍵を使ってガラス扉を開け玉を落とす。その際、遊技を中断させてしまったお詫びに玉を一つスタートチャッカーに入れてあげる様にと教えられていた。
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