2人が本棚に入れています
本棚に追加
それから僕たちは牧場で少し立ち寄ったり、それに飽きたナオミによってまたいつものショッピングモールへ連れて行かれたりした。どうしてか他の人たちにはこれが仲の良い一般的な家族に見えるらしかった。
「由紀夫にいちゃん、ナオミかわいい?」
「宇宙一」
最後に買ってあげたのは白とピンク色のシュシュだった。シュシュをつけたイソギンチャクができたのだけれど、ナオミは超可愛い。
「そろそろ帰らなきゃいけないかな、俺たちも」
遼太郎、と言ったときに近くの雲がいっぺんになくなって、遠く遠くから大きな大きな鉄の円盤が出現した。
「由紀夫の言うところの、UFO」
「あったのか」
どうやら遼太郎と正太郎父さんはまだトイレ行ってから帰るらしいけれど、七生母さんとナオミは先にUFOに乗って帰ってしまうと言った。遼太郎も正太郎父さんも、なんやかんや素直じゃないだけでトイレとか言って僕と一緒にいたいんじゃないか。
「じゃあ、バイバイ由紀夫にいちゃん」
「風邪ひかないようにね由紀ちゃん」
七生母さんとナオミがそう言って触覚をかつてないほどにぶんぶんと振った。
「ナオミー、地球人の僕でもわかるくらいにかわいいよーっ」
「由紀夫にいちゃんくれたやつ大事にするねぇーっ」
ピンク色のかわいい柄のUFOだった。ナオミにぴったりだった。それで緑色の液体をぼたぼたと垂らしていたのは僕も同じみたいなものだった。
「遼太郎、正太郎父さんもさ。トイレなんか不器用なこと言わないで、素直にまだ別れたくないって言ってくれたらいいのに」
「ばれたか」
と言って人間で言うところの頭をかきむしった。
最初のコメントを投稿しよう!