宇宙人ホームステイ

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「結局さ、地球征服しなくても大丈夫だったのか?」 「した方が良かったか人の子よ」 最後くらいなんとか呼んでやれと、脇腹らしきところを遼太郎がどついた。せき払いというか、せきをするかそもそも病気になるのかよくわからない生物だったけれど、とにかく雰囲気を正して、 「じゃあな、由紀夫」 「じゃあね」 そう言って遼太郎より先に不思議な移動物体で移動し始めた。これまでの僕だったら、今すぐに手持ちのスマホで撮りまくって何だこれとか言いそうなテレビ番組に高値で売り込むつもりだったけれど、当然そんな気は起きそうにもなかった。ただそれはあっさりとしていた。 キャトルミューティレーションだったか、僕はUFOといえば牛なんかが誘拐されていくイメージしかなかったので、これが本来の使い方なのだとちょっとだけ感動した。 腕らしき触手はもげそうなくらいに振られていた。もげたとしても治るかもしれないけれど。最後に残ったのは遼太郎だった。 「行かないのか」 「なんだか愛着が湧いてきたんだよ」 「それは元からじゃないのか」 「なんだろうな、俺はずっと地球ってのを下に見てきて、『下等な惑星のくせによくやるじゃん』みたいな感じで長く観察し続けたのかもしれない」 地球好きだったのは嘘なのかよ、と言って今度は僕がどついた。どついた跡が残っていて恐ろしかった、もしかしたら僕が気づいていないだけで年齢的にも残ったり残らなかったりするのかもしれない。それで確かに、僕が一緒にいたのは少しも少しの期間のことで、相手らにとっては大したことのない年月のような気がしていた。 「嘘じゃないさ、ただなんだろう、幼稚園のお遊戯会ずっと見てたら思いの外名作で泣いちゃったみたいな」 「逆転してくれたなら何よりだよ」 あきれながら言った。 「それに地球武力制圧みたいなことしてくれなくて助かったわ」 「宇宙人差別!ステレオタイプ!」 「知らん、下等な惑星の生物だからそのくらいしか想像が湧かないんだ」
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