宇宙人ホームステイ

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「由紀夫、こんなに待たしてごめんね」 「ごめんな由紀夫、長かったよな」 人間の方の父さんと母さんは、幸運にもすれ違って帰ってきた。もしかしたら不自然にも一ヶ月空いたのも、放任主義から改心したように見えるのも最初っから全部遼太郎たちの仕業だったのかもしれない。と言ってもあれのことだし、洗脳ビームでも打ったのかもしれないけれど。 「大丈夫だった?寂しくなかった?」 「お金の方は大丈夫だったか、ちゃんと生活できてたか」 そう言って二人は家の周りが大丈夫だったのか色々と探し始めた。さすがにいろいろと不審なところはあったらしく、入る前にあった迷惑な杉の木が切り倒されているところや、明らかに残っていた食事の量が一人分でないことなんかを問い詰めた。僕でも一段ベッドが三段ベッドになったわけをどう言い逃れしたのか覚えていない。 「大丈夫だったか」 父さんは僕の顔を覗き込んだので、僕は、 「大丈夫、最高に楽しかったから」 と言い返して、さらに両親は不審げな顔をして、大丈夫ならよくわからないけど良かったわと自分の部屋の方へ帰り、いつもの普通の日常へ帰っていった。彼らがいつもの惑星の生活へ帰っていったように。
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