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空虚になった三段ベッドの一番上で、窓からずっとずっと星を眺めていた。僕は天体に詳しくない。詳しいような友達もいない。なんならやばいくらいの文系だし、正直月の自転みたいな単元は嫌いだった。
ありきたりな表現ではあるけれど、いやに綺麗だった。僕は三段ベッドのはしごを伝って、自分の勉強机の上から『中三 理科』の教科書を取り出して、何か僕でもわかることはないかと食べるように見つめていた。
地球の自転、太陽の時点、太陽系の惑星、天道説、地動説、、、
「はは」
わかっていた。彼らの惑星のことについて何一つ記述がないことに。そもそも義務教育ごときの教科書に載っているはずもないのだ。なすすべなく教科書を、自分のストレスの発散にするように激しく閉じた。
寝る気にはなれなかった。缶詰のごみがごみ箱に積み重なっていて、どうして僕はあの一週間を無駄にしたのかと後悔さえ突き上げてきたのだ。
若干オレンジで、母さんに勉強しにくいじゃないと言われた照明は太陽みたいだった。部屋の外、たとえば近くの公園、それから遠くにある僕の学校、もっと遠くには違う国、もっと外へ離れて月、それだけじゃなくと考えていたら気が滅入った。
僕はやりきれなくて、最上階からベッドの下の世界をのぞき込んだ。
小さな紙切れがあった。
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