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アレは見なかったことにしよう。アレは僕の本当の家族じゃない。ふとカレンダーを見た。「明子、ヒロノリ出張」とちょうど一週間前の日付に書かれているのを見て、アレらがここに来て一週間が経ったことに気づいた。
最初の時はびっくりした。テンプレ宇宙人のようなアレらが親のいない子供一人の家を占拠して、言語もろくに通じずに家族面をして、一週間で地球習慣帳というよくわからない本でこの地球や日本の習慣を全部理解したのだから。
初日のことだった。
「お前は誰だ」
最初に聞いたのは弟役の遼太郎だった。こっちのセリフだけど、名前を聞くという風習がせめてこの宇宙人に理解できたのがわかった。
「由紀夫だ」
僕はふるえ上がった。僕の名前は島零翔、バカみたいな名前。零からはばたく零翔。こんな化け物に本名なんて教えてたまるかと、どうせなら文学も好きだし三島由紀夫に名前を借りたのだ。
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