日向と日陰

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冬優(ふゆ)ちゃん、お疲れ様っ」 「お疲れ様」  同い年の河原木七春(かわらぎななは)ちゃんが、メインヒロインで出演するアニメーションの収録スタジオ。  同期の彼女とは座る席が離れているけれど、七春ちゃんは収録が終わると同時に私の元へと挨拶に来てくれた。 「またね、冬優ちゃん」 「また……」  七春ちゃんは自分を綺麗に魅せるための服を選んでいて、その選んだ洋服は七春ちゃんの可愛らしさを更に引き立てていく。 「七春、次のスタジオも一緒だったよな?」  一方の自分は、高校の制服姿。  高校生の制服は、高校生までしか着られない。  それはわかっているけど、高校生の制服姿は少し地味に思えてしまう。  毎日着こなして、見飽きるほど着慣れているからなのか、今だけ纏うことのできる制服姿に自信が持てない。 「知哉(ともや)とは、本当に共演が多いよね」  共演者たちへの挨拶を済ませた七春ちゃんは、急いで次のスタジオに向かおうとする。  そこに、共演者の南さんが話しかける。 「あ、飽きたとは言わせませんからね」 「一緒に行こうって話だよ」  七春ちゃんと仲良く会話する南さん。  特別な好意があるわけではないのに、私は二人の関係を羨ましいと思ってしまう。 「冬優ちゃん、バイバイ」  私には、仲のいい共演者がいない。  私の交友関係は、今も昔も変わっていない。  それなのに、同期の女の子(七春ちゃん)はものすごい勢いで交友関係を広げていく。
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