今日も彼はパチンコ屋で働く

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それからのツナギはぼんやりとした意識の中で歩いていた。 草原のような荒野のような。山岳のような谷のような。 暑くもなく寒くもない。風があるのかないのか、太陽があるのかないのかも定かではない。 1つ分かるのは、渡る前と後では印象がまるで違う川があったことくらい。 それが過ぎてどのくらいの時間が経ったのか。 1人きりで歩く知らない景色。さすがに体全体で疲労を感じ始めた時。それは現れた。 真っ白で四角い無機質な建物。 そこに吸い込まれるようにしてツナギはその建物の中に歩を進めるのであった。 まるで設置されてから初めて稼働したかのような。淀みのない機械音を立てながら、ご丁寧に自動ドアが開く。 砂落としに優れた真っ黒な長方形のマット。その感触を足裏で覚えながら進んでいく。 10メートル程先。長いカウンターの向こう側に居た眼鏡を掛けたスーツ姿の女性がツナギに気付いた。 年に1回あるかないか。そんな風な場所に訪れた為に、自分でキョロキョロして辺りを見合わすよりも、最初に聞いちゃった方が早いという。 ツナギはそんな思考だった。 いっぱしの公的建造物。まだ上にも奥にもフロアが存在していそうだが、他に誰も見当たらない。
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