今日も彼はパチンコ屋で働く

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互いが無言になり、静寂に包まれる。 その状態のまま、数秒が経過してから、眼鏡の女性は首から下げたネックストラップ。 自身がこのカウンターの内側にいるべき存在であることを表すカードが入ったケース。 プラスチック製の止め口をカウンターの天板に滑らせながら、体勢を元に戻した。 コチコチと音が鳴って、女性は体の前で行儀良く左手で右手を包んだ。 「まあ、冗談です。さっきのお返しです」 表情は変わらぬが、少しだけ柔らかな口調に感じ取れた。 「そうでしたか。こちらは冗談ではありませんでしたが。生きている間に、あなたのような女性に出会えていたら、どれだけ素晴らしかったでしょう」 「ふふ。死んで飛び出すなんとやら。先ほど、あなたが口にした質問の答えですが。……ここは死後の世界です。とは言っても、オープンしたばかりでまだ何もありませんがね」 「死後の世界。……それにしてはまるで生きているようだ」 「死とはあちらの世界での話ですからね。あちらでの死はすなわち、こちらでの生。いわゆるコインの裏表のようなものです。しかし、それを目にすれば自分が死を迎えたということを十分に認識出来るでしょう」 眼鏡の女性はそう言って、カウンターの上に鏡を置いた。 反射的にそれに目を映すツナギ。 「な、なんじゃこりゃあ!」 ツナギの頭の上には、白く立派なわっかが浮かんでいたのだ。
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