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漫画やアニメなんかでは、お馴染み。死んだ者を表すのに、こんな便利な物はない。
白く丸い1つの線を繋いだようなそれは、そこにあるのが当たり前かのように、ツナギの頭の上にある。
気持ち半分くらいは、こんな状態からの復活。現世への帰還を果たす可能性を持っていたツナギであった。
しかし、自分の頭の上に、そんなわっかが浮かんでいるのを目の当たりにしてしまうと、何かが突如として萎んでしまう思いにうちひしがれてしまう。
そんな気持ちを知ってか知らずか、眼鏡の女性はそんなわっかの利便性を伝える。
「ツナギさん、そのわっかは何も死んだ証というわけではありません。そのわっかには高性能のICチップが埋め込まれております。
個人情報の全てが記憶されていて、各種支払い機能や位置情報システム。24時間の主観録画機能など備わっていますから、むやみに扱ってはいけませんよ」
「へー!こっちの世界も、随分と便利な世の中になっているんですね~!……それにしても腹が減ったな……」
「それならば、早速そのわっかをご活用されてはいかがでしょう」
女性はカウンターを出た。そしてツナギが入って来た場所から見て左手へと進んでいく。
自動ドアを1つ通り抜け、少し外を見渡せる渡り廊下。もう1つドアを過ぎると見えてきたのは売店であった。
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