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「すみません、2号ジェットのメダル流し回れる方いますか!?」
「会員カードが使えないお客様対応入ります!!」
休憩室からホールに向かう廊下を小走りで進む間にも、インカムのイヤホンなら、何人もの声が飛び交う。
ひっきりなしに何度も何度も。そのけたたましさが、わざわざ副店長が休憩室までやって来た緊急性を物語っていた。
そのインカムから聞こえる声を聞いて、ツナギはどこのサポートに向かえばいいかのイメージをしつつ、ホールに出る金属製の重たいドアを開けた。
ツナギは早足のまま、ホールの右奥。スロットコーナーへと向かう。そして首元に下がるインカムのスイッチを押し、口を開く。
「一旦休憩から戻りまして、20スロ入ります。補給2件とセレクターエラー1件。その後、2号の流しも入ります」
パチンコ店員としてキャリアは8年目。気付けば、アルバイトスタッフの中おろか、店長、副店長に次ぐ古参となっていた男、ツナギ。
もう少しで熱せられた湯が盆から溢れ落ちてしまう。
そんな忙しさに包まれ、そこにいた誰もが目の前の業務で目一杯になっていた精神的肉体的不安定を彼のインカムが打ち消したのだ。
「おしぼりをどうぞ。申し訳ございませんが、急を要する方から順番に対応しますので、少々お待ちを」
まず声を掛けたのは、遊戯を終え、獲得したメダルを持ち、計数器の前へと現れた若い男性客であった。
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