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その総数3623枚。
人気はあれど、ややスペック不足と呼ばれるその遊戯台にしてみれば、十分な出玉であったと言える。
設定など期待できない世間の状況を加味するとさらに。
「ツナギさん!あちらのお客様の、微糖コーヒー持って来ました!」
「ありがと、マチバリちゃん。君はサイコーかよ」
隣のスロットシマを担当していたのは大きめなポニーテールが似合うツナギのフリーター仲間。
パチンコ屋での勤務歴は2年。当初は慣れない職場で馴染めなかった彼女であった。
入社してからしばらく、ツナギとのトレーニー、トレーナー関係が爆裂し、気付けばとある分野でもお店に貢献するホールスタッフに成長した人物である。
そして、何よりデカイ。何とはわざわざ言わないが、色々とデカイ。
パチンコ玉いくつか転がったとしても、彼女の胸元や尻の上では行き場を失くして埋まってしまう。それくらいデカイ。
紛れもない恵まれた体。学生時代に、何かのスポーツに打ち込めば有望選手になってもおかしくないくらいの恵体である。
その分、非常に臆病で気の小さい性格に育ってしまい、汗を流しながら他人と競うようなことが苦手であるのはかなりもったいない印象。
何よりデカイ。それでいてポニーテール。それこそが正義。このパチンコ屋に関わる男の中には、隠れファンも多いのであった。
そんな彼女は、自身の対応中に、常連の客からコーヒーのデリバリーを頼まれたことを察した。
対応の合間を縫って、カウンターへ走り、所望の品物を持って、軽師匠の前に参上した次第であった。
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