今日も彼はパチンコ屋で働く

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今日も彼はパチンコ屋で働く

麗らかな春の日。お天気も良く、それほど花粉も飛散しておらず。非常に過ごしやすい。いわゆるパチンコ日和。 世間一般的には何をするにも最高の日曜日の昼下がりだが、ツナギは働いていた。朝7時半に出勤し、まずは台清掃。 前日閉店してそのままの、荒れ果てたパチンコホール内。そこをまずは開店出来る状態に持っていくのが彼の仕事だ。 何人かの同僚と手分けしてそれをひと区切りさせると、抽選箱を持って、店の外に走る。開店待ちをする常連客達の入場順を決めるのだ。 それも済み、いざ開店となれば後は流れの赴くまま。重大なトラブルが起こらないことを祈りながら、ツナギは担当のスロットコーナーを巡回する。 遊戯客が離れた台の清掃と忘れ物チェック。目押しが苦手な客にタイミングを取ってやることもある。 とりあえず全員の昼休憩も終わり、いつもより少しだけ混雑している以外は特に変哲もない日曜日であった。 今は1日の業務の中のラスト休憩。長テーブルに備えられたパイプ椅子にドカッと座り、スマホを開く。 1時間後に自ら出陣するホールの出玉チェックは怠らない。 「おっ、今日は最新台が結構出てるな。一方ジャグラーはイマイチか。そのわりにレギュラーが先行している台があるから、その辺りが夕方からの狙い目だな」 便利な世の中。端末1つで複数のホールの出玉、稼働状況を無料で確認出来る時代になった。 そんな瞬間に、ガチャリと背後のドアが開かれる。 現れたのは副店長だった。 「どうしたの、ツナギ君。大きな声を出したりして」 「あっ、副店長!珍しいですね、バイトの休憩室に来るなんて……」 「それがホールで急にトラブル続いてさ。休憩入ったばかりのところ悪いけど、出てもらっていい?」 「分かりました!」 ツナギは最高の幸福を知らせたスマホをそのままテーブルに置く。 インカムのイヤホンを耳の穴に装着し直しながら休憩室を飛び出した。
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