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「それ、スープ屋のメニューに出せよ、飲みに行くから」
と西浦が言い出す。
「ストレートなネーミング、意外と受けるよな。
いいじゃないか。
『酔っ払いたちの胃を休めるスープ』。
『傷心な店長のスープ』も今、人気だろ」
いや、それ、なにが入っているのか。
なにに効くのか、よくわかりませんけど……。
同じことを思ったらしい唐人が船木に訊いていた。
「そういや、なにが入ってんの、あのスープ。
酸味と塩味が効いてて、あとで、ほんのり甘いけど」
「俺の涙」
と船木が適当なことを言う。
「船木さんファンクラブの女子が食いつきそうな材料だね」
はは、と唐人が笑い、
「材料、『クールメガネの涙』と書いておけ」
もっと売れるぞ、と西浦も笑う。
宇宙鍋を手に船木がこちらを向いて言った。
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