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二人で待っていたが、面と向かって話すような話もない。
壁際に並んで待っていると、常務が言った。
「ウロウロしてたが、別になにかを漁ってたわけじゃないぞ。
ほんとうに迷ったんだ」
産業スパイでもない、と言う。
「当たり前ですよ。
常務は誰より会社第一ではないですか」
と言いながら、
この人が例え、会社の金庫を開けて覗いてたって誰もなにも疑わないくらいの人なのに、
こんな話題を振るとは、よほど話題がないらしい、と思いながら、月花は言った。
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